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――
「ただいまー。」
俺帰宅。
「おかえり。あんたご飯は?」
わが母、美智子。
「いる。」
俺、即答。
成長期とはそういうものだ。
ちっちゃなぼろアパート。
スミレ荘。
俺は物心ついたときから母親と二人で住んでいる。
「母ちゃん。俺最近筋肉痛ひどいんだよ。湿布どこにある?」
「…テレビの下の箪笥よ。」
「おっ、まじサンキュー。」
「私これから仕事だから、あと鍋のカレー食べてね。」
「了解。」
出かける準備を終えた母は俺が湿布貼りに悪戦苦闘しているのを一瞥して溜息をはくと、新しい湿布をとり俺の肩に貼った。さすが看護師、湿布貼りの出来は相変わらず素晴らしい。
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