憂鬱王子

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「あぢ~…」 憂鬱王子こと真北 大和は今日も授業をサボりに屋上へ行く。 「あ」 ドアを上げるとそこには見慣れない後ろ姿があった。 「……」 「……」 しばらくの間、じっと2人で見つめ合う。 「憂鬱王子…」 先に口を開いたのはその先にいる女の子だった。 「君…、何年生…?」 手すりに寄りかかりながら空を見つめているその子に声をかける。 「2年」 「2年何組…?」 「3組」 「そっか…」 それ以上会話が続くことはなく、ただただ時間だけが流れていく。 俺と彼女の間にサラサラと涼しい風が吹いていた。 キーンコーンカーンコーン 「あ」 チャイムが鳴って昼休みの終わりを告げる。 「私はこれで」 そう言って立ち上がる彼女の髪が風に吹かれて揺れた。 .
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