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「翔ーっ。死んでるー?」
近くで妃柴の声がした。
「おう、ここだ。てか、死んでるはないだろ。」
「そんな小さな事気にしないでよね。」
「小さな事って・・・。それよりどうする?さすがにここはやばいかもしんねぇから離れようぜ。」
「先に、武器確認しない?あたしたちの。」
そういって妃柴は
バッグの中をごそごそ探った。
「なんだ、普通の拳銃か。こんなので一発で死ぬの?」
「おい、待て。お前まさか誰かを殺す気でいるのか!?」
「だってそれがこのゲームの意味でしょ?殺したって悪いことはない。あたしの命を狙うやつがいるならあたしは・・・。」
「お前・・・は?」
「容赦なく撃ち殺す。この拳銃でね。」
妃柴の言葉に
俺は絶句した。
「てか、あんたの武器は?」
「あ・・・あぁ、俺のは・・・・・、なんだコレ。」
「はちまき・・・。」
俺がバッグから
引っ張り出したのは
「必勝」と書かれた
はちまきだった。
「こんなんでどうやって戦うんだよ?ふざけやがってっ・・・。」
「はは、日頃の行い悪いからこんなのが当たっちゃうのよ。」
「はぁ?ふざけっ・・・」
ガサッ―――。
「・・・誰か、いるのか?」
「しっ。今は静かにしてた方がいいと思う。」
妃柴はその細い指を
俺の唇に当てた。
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