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「エドガー隊長!」
エドガーと呼ばれた男はその声に顔を上げた。
「もう隊長ではないと何度言ったらわかるんだ」
ため息を尽きながら彼は駆け寄ってきた青年を見た。口調は呆れつつもその瞳は優しい。
「は。ですが…」
「ハミルトン。君の勇名はこっちにも聞こえてきている。自信を持て」
「は。ありがとうございます。そうエドガー隊長におっしゃっていただけるとは光栄です」
さっと顔に赤みのさしたハミルトン。よほどエドガーを慕っているようだ。
フォルテ王国の王都スフォルツァ。その治安を守っているのが王都警備隊だ。階級や家柄に関係なく実力で選ばれた精鋭たちは市民はもとより国王からの信頼も厚い。隊長のハミルトンはまだ若年ながらも高い実力で精鋭たちをまとめている。
「そうか。しかし、どうしたんだ。お前が俺を頼るなど」
ハミルトンの表情が陰った。それだけではない。言いようのない困惑が見え隠れする。
「ここでは少し難がありますので、詰め所まで一緒に来ていただけますか」
「わかった」
ハミルトンの表情を見てとったエドガーは即答した。
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