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<王都警備隊詰め所>
懐かしいたたずまいにエドガーは少し目を細めた。中へ入ると、ハミルトンは人払いをした。そんなに重大なことなのだろうか。
誰もいないので、部屋に備え付けのキッチンでハミルトンは自分で二人分のコーヒーをいれた。
煎れたてのコーヒーのよい薫りが部屋に広がる。一口飲んでからハミルトンはおもむろに口を開いた。
「単刀直入に言います。あの《紅-クリムゾン-》が壊滅しました」
カチャンと音がした。余り感情を表に出さないエドガーが、驚愕に目を見開いている。
「しかも、壊滅させたのが、まだ10代の少女なんです」
「本当なのか……?」
詳しく話せというエドガーの視線に頷き、ハミルトンは話し始めた。
「つい数日前のことです。我々は例の幽霊屋敷の付近で異常なエネルギーの放出を感じとりました。」
例の幽霊屋敷とはスフォルツァ郊外の森の外れにある寂れた洋館のことだ。肝試しに多くの人が入っていったが、帰って来たものは誰もいないといういわくつきの屋敷だ。
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