その幕開け

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同時に厚い雲が空を被い、風が吹き、雨が降り出し、雷が墜ちた。突如として起こった嵐に異常なエネルギーの放出。後にわかったことだが、それはスフォルツァ周辺だけでなく大陸全土で何らかの気象以上が起こるほどだったらしい。 エドガーも頷いた。そういえばと思い出す。あの時、仲間の一人の様子がおかしかったと。 「直ちに私を含む数名で確認しに行ったところ、血まみれの少女と女性を発見しました」 再び話し出したハミルトンに、エドガーは意識を現実に引き戻した。 女性は既に事切れており、少女は全身血まみれで静かに雨に打たれていた。異常なエネルギーの放出は鎮静していたが、ハミルトンは少女からそのエネルギーを感じとった。鎮静しているとはいえ、エネルギーの放出は止んでいない。 駆け付けたハミルトン達を見て少女はこう言った。 「ちょうどよかった。この人をきちんと埋葬して欲しい。」 と。 「君の手当てもしないといけない。血まみれじゃないか」 警備兵の一人がそう言うと、彼女は凄絶に笑んだ。 「ほとんど返り血だ。私は《紅-クリムゾン-》のザクロ」 そこまで言って彼女はさもおかしそうに喉を鳴らした。 「ククッ。もう《紅-クリムゾン-》ではないか…。かの組織は私がさっき潰したんだから」 絶句する警備兵たちに向かって底冷えのする視線を彼女は向けた。 「嘘だと思うなら見てくればいいさ。ああ。気をつけな。生き残りがいるかも知れないから」  ハミルトンは連れてきた警備兵の中から3人選んで屋敷の中を見てくるように指示を出した。
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