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「スコール先生。こちらです」
「はぁ……でっかいすねー」
ロングコートに身を包んだ男、スコール・ヘリオットは校舎を見上げると、感嘆の声を洩らし目を丸くした。
大きな学校とは聞いていたが、まさかこれ程までとは……。
まるで王宮だ。
バラム王立学校魔法院。
ここが、スコールが今日から勤める学校だった。
ふと、校庭に目を向ければ、今は魔法実習の時間なのだろうか。生徒達が箒を宙に浮かせる練習をしている。
スコールの視線に気づいたのか、老年の男性は校庭に目を向け目を細めた。
「彼らは魔術科のクラスです。我が校に4つある学科の内のひとつですね」
「“召喚科"でしたっけ。俺の担当学科は」
「はい、今年から新設されたものですから適任の教師が見つからず……」
「で、俺が呼ばれたと……でも、何で今年からなんすか?」
「リアンタ戦役の英雄には召喚師がいました。今の世代では知らない子もいるようで、その話をしたら生徒達は召喚術に興味を抱いたみたいでして」
「成る程ね。同志が増えるってのも悪くはないですしね。ただ……」
「はい。その点についてはわかってますよ」
スコールは頭を掻き、もう一度魔術科の生徒達に目を向けた。
「頼みますよ……?」
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