4月

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そう。これが1番の楽しみ。 どちらが多くゴールできるか。 負けた方が勝った方の言うことをひとつだけ聞く。 それだけのシンプルなゲーム。 うちの学校はバスケで1番多く本数を入れられたが男女1名ずつがMVPとして選ばれる。 ようはそれを狙う訳だけど。 「んで、宇津さんは何がいい? いっこ何でも聞くよ?」 それを言うとやっぱり宇津さんは目を光らせた。 それから目を細めながら微笑んでこう言った。 「そうね……んじゃ、私に関わらないで。必要最低限に話し掛けないで。近づかないで。クラスの人にもそう言って。」 「………ほぅ。」 極上の笑顔でなかなかに辛いものを出してくれる。 「で、あんたはど」 「あんたじゃありませーん。」 「……ちっ。…仁はどうすんの? まぁAクラの媛くんがいるから無理だと思うけど。」 待ってましたその質問。 しかし、媛のこと知ってたんだ。 まぁ、あいつ有名だしね。 「えっとね、俺が勝ったら宇津さんのこと下の名前で呼ぶ。 ちなみに媛には勝つよ?」 そう言った瞬間、 少し息を飲む音がした。 ほんの一瞬だけ 宇津さんのまわりが凍りついたような気がした。 なんだろ? 少し戸惑いが見えたけど、 意を決したように口を開いた。 「い、いいわ。どこでその自信が出てきたか知らないけど、勝負しましょ。」 こうして球技大会の幕が上がる。 _
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