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そう。これが1番の楽しみ。
どちらが多くゴールできるか。
負けた方が勝った方の言うことをひとつだけ聞く。
それだけのシンプルなゲーム。
うちの学校はバスケで1番多く本数を入れられたが男女1名ずつがMVPとして選ばれる。
ようはそれを狙う訳だけど。
「んで、宇津さんは何がいい?
いっこ何でも聞くよ?」
それを言うとやっぱり宇津さんは目を光らせた。
それから目を細めながら微笑んでこう言った。
「そうね……んじゃ、私に関わらないで。必要最低限に話し掛けないで。近づかないで。クラスの人にもそう言って。」
「………ほぅ。」
極上の笑顔でなかなかに辛いものを出してくれる。
「で、あんたはど」
「あんたじゃありませーん。」
「……ちっ。…仁はどうすんの?
まぁAクラの媛くんがいるから無理だと思うけど。」
待ってましたその質問。
しかし、媛のこと知ってたんだ。
まぁ、あいつ有名だしね。
「えっとね、俺が勝ったら宇津さんのこと下の名前で呼ぶ。
ちなみに媛には勝つよ?」
そう言った瞬間、
少し息を飲む音がした。
ほんの一瞬だけ
宇津さんのまわりが凍りついたような気がした。
なんだろ?
少し戸惑いが見えたけど、
意を決したように口を開いた。
「い、いいわ。どこでその自信が出てきたか知らないけど、勝負しましょ。」
こうして球技大会の幕が上がる。
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