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「牧ちゃん、それどゆことよ?」
なるべく笑顔を作って抵抗する。
「牧ちゃんじゃなくて先生でしょー? ほんと話聞いてなかったんだから…。だって面白そうだし、皆も仁くんでいいって言ってるし」
どうやら話を聞いてなかった俺への当てつけらしい。面白そうだしって先生が言うことじゃないだろ…。今度から牧ちゃん怒らせないようにしよ。
「…ん?ちょ待って。女子の学級委員、誰って言った?」
空耳であってほしいのと、そうだったらって期待すんのと半々で牧ちゃんに聞いてみる。
「だから、宇津さんだってば。」
やっぱそうだったかー……。
ちらりと彼女の方を見るとこちらに気付いたようであからさまに嫌な顔をした。そして誰もが聞こえるような大きなため息を一つ。
クラス全体が静かになったところを確認した彼女は席から立って教壇の方に向かう。その姿はやはり美しく、思わず見とれてしまう。
「先程空気だと思えと言ったばかりなのに、担任含め全員わかってなかったのね。いいわ。このクラスの権限は私が握る。私が学級委員になったことを後悔させてあげる。」
魔王が降臨する瞬間だった。
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