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そんでもって放課後、委員会。
一応宇津さんもいる。
半分寝てるし不機嫌だけど。
「では、始めたいと思います。
まずクラス順にクラス現状と目標を───」
1年A組から順に話していく。
すると宇津さんが俺の裾を引っ張ってきた。
「………なんすか?」
何故かタメ語で話せない俺。
「私が喋る。」
「…………へ?」
そう言っていつも通り、
宇津さんは音もなく席を立った。
「我がBクラスは普段は明るく賑やかですが授業の時は集中できる、けじめのあるクラスです。入学してまだ数日しか経っていませんが────」
さすが学年トップ………。
よくもまぁそんな思ってもないことをつらつらと………。
「はい、いいですね。
ではクラス目標は?」
「っ……………。」
辺りが静かになった。
あれ…………?
隣を見てみると、宇津さんは下を向いて拳を握りしめていた。
そうか。
こいつ寝てたから……。
………しゃあねぇなぁ。
「んじゃこれは俺が。こいつばっかカッコイイこと言わせちゃズルいすからね。」
皆が笑ってる中、一人舌打ちしてたのは気のせいだと思っておこう。
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無事委員会が終ってそれぞれ帰る準備をし始めた頃。「なんで、あんた。」
宇津さんは納得行かないご様子。
「いやぁ、だって、うん。」
なんとなく濁す。
だって言葉にしたくなかった。
しなくてもわかってくれるべ。
頬を膨らませてるの見たら、案外可愛い奴なのかもって思えた。
もう敬語の必要はないかな。
「つか、あんたって言うのやめない?」
そう言うと宇津さんはじっと俺の方を見た。
「……ちょっと借り作ったからっていい気になんないでよね。
………………でも助かった。
ありがと………………仁。」
眉間にしわを寄せながら、少し恥ずかしそうに目を逸らし、そして心外だとでも言いたげに口を尖らせながら出たその言葉。
「下の名前でもいいのに。
俺も下で呼んでい?」
「………自分と同じ漢字なのに下で呼ぶの絶対やだ。
ちなみに私のこと下の名前で呼んだら半殺しにする。」
仲良くなるにはまだまだ先が長いや。
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