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「ぁ、家出なんて言い方悪いよな、ごめん」
ちがう、そこじゃない。謝ってほしいのは、そこじゃない。
「あんた、いくつよ」
「は?」
「歳よ、歳。いくつ?」
絶対にあたしよりも年下よ。この子、可愛い感じで少しあどけなさが残ってるから高1なのかしら
「‥‥17歳、高3」
「‥‥‥‥え?」
今度はあたしが困惑する番らしい
これで高校3年なら最早成長がどこかで止まっている
兎みたいに可愛く、遠くから見たら女の子に見えそうな篠崎要
どうやら、あどけなさが残っているのは可愛らしい容姿のせいらしい
「高3には見えねぇんだろ、よく言われるよ」
篠崎要が少し、いじけた様子で反抗してくる
まぁ、可愛らしい反抗だこと
なんか、あたし、おばさんみたいだな
「‥まぁ、いいわ」
どちらにせよ、あたしよりも年下よ
「あたし、18歳なの。あなたより年上よ?」
「‥‥‥‥‥」
「それに、もう学生じゃないのよ、卒業生。中学生なんかじゃないわ」
篠崎要が無言だから、あたしはまくしたてるように言ってやった
「‥‥嘘だろ‥?」
篠崎要の第一声がこれ
「‥アリス‥、‥身長‥‥」
第二声がこれ
「‥‥悪かったわね‥、‥これでも152cmはあるのよ‥‥」
篠崎要ったら、ひどい!
あたしのコンプレックスをずばっと口にしてくれたわ
「‥‥‥ちいせぇな‥」
うっさいわ!
「‥‥‥まぁ、いいや。」
「‥なにがいいのよ、」
「いいから、おいで」
この一言が始まり
あたしが不思議の国に迷い込んだ瞬間
「ちょ‥、ちょっと‥!」
篠崎要はあたしの腕を思いっきり掴んで引き寄せた
「はやく、行こーぜ!」
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