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「ここですか……」
二人の前にあるのは瓦屋根の見た目は綺麗ながら、年季は入っているだろう家だ。
『ここの娘さんが成仏しきれず、未だにこの家をさ迷っているんだって
夜イタズラをして物を落としたりして眠れなくて
昼間も不意に足を引っ張られたりと今までは押さえてたんだけど、そろそろ依頼主の両親達が精神的に来てて……
だから、武人のとこに依頼に来たんだ
今日僕達がするのは、娘さんを説得して、成仏してもらうんだ』
ちなみに依頼主の名前は、雪野陽助。そして皐月の夫婦。
そして亡くなったのが、娘の咲だ。
「はい……
でも、私に出来るでしょうか……?」
『大丈夫。君なら出来るよ。自分を信じて』
「……はい!」
二人は家に上がった。
「心霊相談事務所の雪代舞花です
所長の亞木武人さんの代理です」
「え……
大丈夫なんですか?」
舞花を出迎えたのは妻の皐月。
そして予想通りの皐月の反応に舞花はニコリと笑う。
こういう相手に動揺したりすれば、相手が不安になることを舞花は知っていた。
「御安心ください
ひとまず上がらせていただいてよろしいですか?」
「あ、はい
どうぞ」
案内をしてくれている奥さんを見ればやつれている。
確かにこのままでは危険だ。
舞花がそんなことを思っていた時、襖が開き、小さな手が皐月の足を掴んだ。
「キャアッ!!!」
「!!」
舞花はすぐに部屋に飛び込む。
するとキョトンと目を丸くした7歳くらいの女の子が居た。
ピンクのぼんぼんをつけたゴムでツインテールにしている。
「奥さん。娘さんはピンクのぼんぼんのついたゴムで髪をツインテールにしてましたか?」
「えっええ」
「……今私の目の前に娘さんが居ます」
「!!
やっぱり……
お願いです!咲をもう苦しみから救ってください!
私達のせいで死んでしまった咲を!どうか……どうか……っ」
皐月は舞花にしがみついたまま、その場に膝をついた。
舞花は皐月と同じように膝と着き、皐月の両手を包み込むように握った。
「娘さんの咲ちゃんと何があったのか教えていただけますか?
それが……咲ちゃんを救う鍵になるかも知れませんので」
皐月は青い顔で小さく頷いた。
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