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舞花は電話番号の書かれた紙を受け取り、すぐに電話をさせてもらった。
〈はい……?〉
「吉田さんですか?突然すみません。あの、唐突なんですが、咲ちゃんがあなたに相談したことを教えていただけませんか?」
〈……お断りします。私はもうその家と関わりたくないのです。〉
「……信じられない話かも知れませんが、未だに咲ちゃんはこの家に居るんです
彼女に成仏してもらう為にも、あなたの情報が必要なんです」
〈……ではその証拠を聞かせてください。咲ちゃんと私の二人だけの秘密で、咲ちゃんの宝物があります。それは何ですか?〉
「吉田さんと二人だけの秘密で、咲ちゃんの宝物……ですね。
分かりました。聞いてきます。
一旦電話切りますね」
舞花は一旦電話を切り、咲の元に向かった。
「咲ちゃん!」
『舞花ちゃん!!もう助けて!』
「はい?」
『アハハッもっと走って走って』
相変わらず、大樹は馬をしている。
「えっと……
楽しそうなとこ悪いんだけど、咲ちゃん
吉田さんと二人での秘密で、咲ちゃんの宝物って何?」
咲ちゃんは目を丸くした後、小さく答えた。
『……写真』
「写真?」
舞花は答えた咲が何だか辛そうにしていたのが気になった。
「……答えてくれてありがとう」
舞花は咲の頭を優しく撫で、
「大樹さん!頼みました!」
『また!?』
と咲は大樹に任せ、走りだした。
そして再び吉田さんに電話をかける。
〈はい〉
「答えは写真です!」
それを聞いた瞬間、吉田さんが泣き始めた。
「吉田さん?どうしたんですか?」
〈すみません……
そこに……奥様か旦那様はいらっしゃいますか?〉
「奥様はいらっしゃいますが……」
舞花はチラリと皐月を見る。
〈私の声を奥様にも聞こえるようにしてください〉
「あっはい。分かりました」
舞花は電話をスピーカーにした。
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