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◇ ◇ ◇
何、コレ――…
私は手にした紙を手に、思わず固まってしまった。
まだ競技の最中だって言うのに。
そう、まだ競技の最中だ。
こうして立ち止まっている内に、どんどん先を越されて――
「3月生まれの人、3月生まれの人いませんか――っ!?」
「赤いハンカチ持ってる人!!」
「え、AB型の人。い、いませんかぁ?」
皆、借り物競争のお題を探しているのに――
ブルブルブルブル。
紙が震える。
「ふ、ふふふふふふ……」
紙に書かれたその文字に、震えが、笑いが、止まらない。
でも、それは愉快という感情とはかけ離れたもので――…
『小麦粉か何かだ』
小麦粉か何かだ小麦粉か何かだ小麦粉か何かだ小麦粉か何かだ小麦粉か何かだ小麦粉か何かだ――
「小麦粉か何かだって、何だ――っ!?」
遂に我慢できなくなって、力の限り叫んだ。
周りがギョッとしてこっちを見ているのが分かっていても、怒りは収まってくれない。
「何だよ、小麦粉か何かだって!! 小麦粉なのか小麦粉じゃねーのか、どっちだあぁっ!?」
この、キチッと嫌味なほどに綺麗な文字には見覚えがある。心当たりがある。
毎回、毎回、こんな嫌がらせをしてくるのはアイツしかいないっ――
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