実家

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実家

盆休みや年末年始には、必ず実家に帰る。特に何かをするわけではないが、帰らないと、気持ちが落ち着かなくなる。もちろん、実家で暮らしていた時はそんな事は思わなかった。むしろ、年末年始や盆は旅行していた。離れているからこそ、安らぎを求めて実家に戻るのだろう。 『実家は変化して欲しくない』『帰ったら何も考えず落ち着いていたい』そんな思いを持って帰省しているが、帰るとそんなものは一瞬で消えてしまう。家の中にあるものは過去のものばかり、逆に時の経過を感じざるを得ない。なんだか辛くなる。しかし、それでは先がない。わくわくする楽しみでもあると考えたい。 僕の実家は住宅地にある。高度成長期に造成され、分譲された土地だ。付近にはこんな造成地がいくつもある。昔はそこらじゅうで子供が遊んでいたものだが、今は子供がいなくなって過疎化が進んでいる。暮らしているのは年寄りばかりだ。空き家も増えた。うちの実家も、70代の両親のみ。父は大病を患ってかなり弱々しくなり母も後にわかったことだが、認知症を発症していたようで、片付けができず、家の中は物で溢れていた。話をする時はなんら変わりがなかったので気付かなかったが、母が大好きだったフラダンス教室をやめてから、父は何となくおかしいと思い始めていたようだ。僕は洗濯した服が家のいたるところに散乱しているのを見ても気付かなかった。いや、ひょっとしたら気付きたくたかったのかもしれないが・・・。確実に身の回りの状況は変化しているのだ。今をとどめていてはくれない。
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