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子供の誕生
子供は2人いる。どちらも僕と同じ男。この構成は僕の希望していた通りだ。だが、彼らの誕生は順調ではなかった。どちらの場合も、誕生の前に流産があった。
最初の妊娠の時、医者から『おめでたですね』と言われた、と妻が僕に報告してくれた。その笑顔を見つめながら、僕は喜びを噛み締めていたのだが、胎嚢ができていたのに、胎芽が見えないということで、3ヶ月目に流産の処置となってしまった。その時、妻は黙って泣いていた。僕なんかより妻の方が数倍悲しいのだと、その涙顔を見て思った。
それから1年後に妊娠し、晴れて長男が誕生した。2年後に2人目を、と頑張ったものの、再び枯死卵で流産となった。
独身の頃は、あんなに避妊に気を遣っていたのに、いざ頑張ると、簡単にはできなかった。子作りって難しい。一応妻の指定する日に合わせて頑張るのだが、いろんなタイミングが合わない。本当に大変だった。やはり子は授かるものなのだ。
3人目を、と思わなかった訳ではないが、妻の涙顔が脳裏に焼き付いているので、諦めることにした。まぁ、実はそれだけではない。経済的にも無理だと思った。稼ぎが悪くて・・・。
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