第 1 話

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久しぶりにあんなに無我夢中に走った気がする。我に返り気付いた頃には、教室の前に立っていた。 「…はぁ…はぁ…っ」 スカートの横ポケットに手を入れてこそっと携帯のディスプレイを確認すると丁度、五時間目の授業開始のチャイムが鳴る時間だった。 「…あ、挨拶!」 慌てて教室に入ろうとガラリとドアを開ければ、クラスメイトの視線が一斉にこちらに向けられる。 「っ…!」 居たたまれない気持ちに襲われそうになりながらも、少しでも早く席に着くことが大事だ。 席に着いた私は、次の授業は何だろうと思い教卓を確認するとそこには先生らしき人物の姿はない。 (あれ…?まだなのかな) 不思議に思ってあまり話したことのない隣の男子生徒に話し掛けてみる。 「あの…先生ってまだ…?」 「うん、まだ」 「まだなんだ…あ、ありがとう」 ペコリと軽く頭を下げてお礼をする。仕方がないので黒板横に書かれている、後ろからでも見やすい手書きの大きな時間割り表を見た。 「そっか、国語だ」 机の取っ手に掛けている鞄のファスナーを開けて、中から国語の教科数とノートを取り出すと同時に荷物を持った担当の先生がガラリとドアを開け、中に入ってきたのだ。 仮に遅れたというのにも関わらず至って平然とした態度で。
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