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お弁当を食べながら亜理砂は器用に先程取ったばかりのノートを広げ、教えてくれた。
こうして理数系の得意な亜理砂は私に教えてくれ逆に文系の得意な私は文系の苦手な亜理砂に、お互いに分からない所は教え合い補っている。
時たまテレビの話等をしながらお弁当を食べていると不意にあの事が思い浮かんできた。
「そういえば…」
「ん?」
「亜理砂って、その…門井君と仲良かったっけ…?」
わざわざ食べていた箸を置いて他愛ない話でも亜理砂はきちんと聞こうとしてくれるのだ。
記憶が確かであれば亜理砂は門井君と同じクラスになったことがあった筈。
「ん~良くもなければ悪くもない感じ?けど普通に話すよ。それがどうかした?」
「あ、そうなんだ。いや…さっき気付いたんだけど、今日の日直私と門井君だったから…」
黒板に書かれた自分と彼の名前を指差すと亜理砂もくるりと黒板を見る。
名前を見てから何やらあー、と言いながら私が言いたかったことを理解したように頷く。
「成る程!見た目とか生活は不良だけど大丈夫、別に殴ってくるとかはないから」
もし何かあったりされたらあたしが言ってあげるから、と心強い一言を貰った。
それに亜理砂の言う通り毎日一緒に居るわけでもないし、たかが一日日直の仕事を一緒にやるだけの話、そんなに身構える必要はないんだと何だかほっとする。
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