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「そっか…良かった、ありがとう亜理砂」
「いえいえー!あ。時間無くなっちゃうし早く食べよう食べよう」
「うん、食べよっか」
全ての不安と心配が無くなったわけではないがとりあえずは、亜理砂に話を聞いてもらえて良かった。
普通にしていれば別に門井君が怖い人ではない、ということも分かったので。
昼食を終えた私と亜理砂はお昼休みで賑わう教室を出て、二人で学校にある大きな図書館にやって来たのだ。
着いて直ぐに亜理砂は知り合いに呼ばれて行ってしまったので、私は一人図書館の窓際から外の景色を見ていた。すると……不意にある人物が自分の直ぐ隣にやって来て窓枠に座るようにと腰かけたのだった。
「……ぇ…門井、君…?」
微かに呟いた声に気付いたらしく彼は眠たそうにしている茶色い瞳をこちらに向ける。
「…何?」
ふわっと欠伸を噛み殺しながら門井君は小さく首を傾げた。まさか不良の門井君が首を傾げるなんて、と意外に思うと同時に何だか可愛く見えた。
「え…あっ!あの、えっと…門井君はどうして此処に…?」
恐怖心を振り切り思い切って話し掛けてみる。
髪は黒だが制服は着崩しているし、見た目が見た目なだけに所謂不良の彼が図書館に居るなんて私にとっては不思議だ。
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