38人が本棚に入れています
本棚に追加
暫くして黙って何かを考えていたのか、窓を見ながら素っ気なく答えた。
「…別に?」
「そっそうなんだ…?見た目で判断するわけじゃないけどなんか、意外だな…って」
ちらっと彼を横目で見ながらぽつりと呟く。何事も見た目で判断することは良くはないし、しようとも思わない。
だけど何だか不思議なのだ。先程まで恐怖心を抱いていた相手が、自分とはまるで違う世界に住んでいる様な不良の門井がこうして横に居ることが。
しかも図書館に一緒に居るなんて。
「……………」
話すような話題が見付からず沈黙してしまう。折角一緒に居るチャンスだし何か話した方が、と思うも何を話せば良いのか見浮かばない。
どうしよう…と悩んでいれば先程まで黙って眠い瞳で外を眺めていた彼が口を開く。
「花木さん、だっけ?」
「へっ?」
突然の質問に情けない声を出してしまう。質問の意味を理解した後、慌ててこくこくと数回頷いた。
「お、当たり」
「あの…どうして私の名前知って…」
接点と言えばただ学校が一緒だった事と同じクラスだというくらいしか思い当たらない。話した事も数回程度ならあるが、無いと言っても等しいぐらいのに。
それなのに何故私の名前を知っているのだろう?と分からず首を傾げる。
最初のコメントを投稿しよう!