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首を傾げて不思議そうな表情を浮かべていると、彼は微かに口角を上げて表情を幾らか和らげて言う。
「何でか、って?」
「え…あ…うん。接点とかもあんまりないし…」
図星を突かれたような気がして昔からの癖もあり自然とうつむき気味に答える。
昔から人見知りで仲良くなれるまで時間が掛かってしまう。
人が嫌いというわけではないのだが、上手く接する事が出来ず苦手な事になっていた。
だから私はその影響もあり視線が気になると何時もうつむき気味になってしまい、亜理砂や仲の良い友人達としか面と向かって話せないのだ。
「多川と仲良いんだろ?」
「多川って…亜理砂?」
「そう、なんかいつも一緒に居るから」
「…うん。私にとって亜理砂が一番の友達、だから…」
窓の縁に両手を着き前屈みになり開け放たれた窓に顔を近付け、青い空を見上げる。
悩んだり不安定になるとよくこうして空や海を観ていた。
私の悩みなんてちっぽけなんだ、と解決はしないが心が落ち着いて、好きなのだ。
「―――良いじゃん」
「え?」
私はふいに隣から発せられた声にくるりと振り返った。
「あいつ…いや、多川って面白いよな」
「ふふ。分かる気がする」
突然な事だったが亜理砂が誉められた様な気がして少し嬉しかった。
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