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二人が2番ホーム側で急行小田原行きの電車を待っていると、銀河がふとホームの先端付近でコソコソと何かをしている人物を見つけた。彼らと同じ学校の制服を着ていたその人物を銀河がじっと見ていると、それがクラスメイトの大久保穂高という生徒だと判明した。
「なあみなみ、あそこにいるやつって俺らのクラスの大久保じゃねぇか?」
「え? ・・・本当だ、大久保くんだ。あ、そういえば大久保くん、自己紹介の時に電車が好きだって言ってたよ?」
「へぇー。みなみ、ちょっと行ってみようぜ!!」
「いいけど、ちょっかい出さないでよ? 大久保くんがかわいそうだから」
「出さねぇよ。ちょっと興味があるだけだし・・・」
「まあ、それならいいけど・・・」
あれだけ無趣味な銀河の口から、「興味がある」という言葉が出た瞬間、みなみは涙が込み上げるくらい驚き、同時にそんな彼を見守ってあげたいという感情が湧き上がってきた。穂高の元へと向かって歩いていく銀河を、みなみは一歩下がった場所から追い掛けていった。
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