始発駅 「きっかけの出会い」

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「へぇー、大久保くんって本当に電車好きなんだね~。私、大久保くんみたいに何か一つの事に一生懸命になるってすごく良いことだと思うな。・・・全く、誰かさんも大久保くんを見習ってほしいくらいだよ」 みなみには分かっていた。銀河が自らの意志で穂高に歩み寄ったという事は、すなわち鉄道に僅かながらも興味を持ったという事を。ここでこの大チャンスを逃してはなるまい、そう思ったみなみは敢えて銀河に話しを振ったのだ。するとみなみの思惑通り、茶化された銀河が一言呟いた。 「・・・なぁ大久保、よかったら俺も一緒にその電車、待っててもいいか?」 「えっ?! 銀河くんも電車好きだったの?!」 「いや、なんか大久保の話し聞いてたらさ、俺もその電車をこの目で見てみたいなぁって思って・・・」 「そっか。それなら一緒に待ってよう!!」 「おう!! サンキュー!!」 それから十数分間、穂高は銀河に鉄道の魅力や基礎知識を分かりやすく教えた。いつになく真剣な表情で穂高の話に聴き入っている銀河を見て、みなみは心の中で大きくガッツポーズをした。
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