始発駅 「きっかけの出会い」

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『お待たせいたしました。2番ホームに多摩急行唐木田行きが10両編成でまいります。危険ですから黄色い線の内側までお下がりください。』 接近放送が終わったのと同時に、銀河と穂高はパッと視線を新宿方面に向けた。程なくして、ついにお目当ての06系が駅手前のカーブを曲がりながらその姿を現した。まるで生き物のように車体をくねらせてながらカーブを通過し、ゆっくりと新百合ヶ丘駅2番ホームに入線してきた。 「銀河くん、あれが写真に写っていた06系だよ!!」 「だな!! 写真より全然カッコイイじゃん!!」 「なんかライトが丸くてカワイイね~。なんだか私も好きになりそう」 二人のあまりなはしゃぎっぷりに、思わずみなみまで興奮してしまった。 06系は徐々に速度を落としながら銀河たちに近づき、そして運転士の見事なブレーキさばきで停車位置に寸分の狂いもなく静かに止まった。一斉にドアが開くと、多くの乗客が新百合ヶ丘で降りていく。銀河は買ったばかりのスマートフォンで、穂高はリュックサックに隠してあったデジカメで写真を撮り始めた。
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