第一章、姫と鵺

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「何をよそ見をしている!!」 俺を滅ぼさんとする術士の彼女の怒鳴り声に思う。 (…違う。) どこにも確証がないが俺の中ではあの彼女に―――。 男女二人の戦いに屋敷や木々に火が移り広がり黒い煙がたつ。 「大地の主、鵺ッ!! 我はお前を倒す!」 憎しみに満ちた目で俺に術を放つ。 五行の龍が俺を囲むように喰らう。 「破滅ッ!!」 陣を組み俺に留めをさした。 だが、俺には無意味な事 「……散れ」 「!!」 俺の放つ言葉にかけられていた術は消える そして、静かに彼女の前に寄り首を絞める 苦し紛れに声が漏れた。 「死に…たくない…。」 …まただ 「…なんで、思えるんだ? 巫女になるもの皆命が欲しいものか?」 一層、力を込める。 ゴキンッとなり彼女の口からは血が垂れる。 そのまま飽きた玩具を捨てるかように彼女を火の中へと投げる。 「…またか、何故俺は巫女に殺されないのだ。」 薄汚れた両手を見つめ握りしめる。 【鬼神の巫女】… それは我々の一族を滅ぼす為にある神の申し子。 でも、どいつもこいつも選ばれた巫女はどれも同じ 最後は俺に殺されてしまう。 見つめた両手を握りしめ顔に寄せる。 赤く燃える炎の中 二束の長い髪に結ばれてる鈴が チリィーンと虚しく鳴る。
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