第一章、姫と鵺

2/8
前へ
/44ページ
次へ
「何をよそ見をしている!!」 俺を滅ぼさんとする術士の彼女の怒鳴り声に思う。 (…違う。) どこにも確証がないが俺の中ではあの彼女に―――。 男女二人の戦いに屋敷や木々に火が移り広がり黒い煙がたつ。 「大地の主、鵺ッ!! 我はお前を倒す!」 憎しみに満ちた目で俺に術を放つ。 五行の龍が俺を囲むように喰らう。 「破滅ッ!!」 陣を組み俺に留めをさした。 だが、俺には無意味な事 「……散れ」 「!!」 俺の放つ言葉にかけられていた術は消える そして、静かに彼女の前に寄り首を絞める 苦し紛れに声が漏れた。 「死に…たくない…。」 …まただ 「…なんで、思えるんだ? 巫女になるもの皆命が欲しいものか?」 一層、力を込める。 ゴキンッとなり彼女の口からは血が垂れる。 そのまま飽きた玩具を捨てるかように彼女を火の中へと投げる。 「…またか、何故俺は巫女に殺されないのだ。」 薄汚れた両手を見つめ握りしめる。 【鬼神の巫女】… それは我々の一族を滅ぼす為にある神の申し子。 でも、どいつもこいつも選ばれた巫女はどれも同じ 最後は俺に殺されてしまう。 見つめた両手を握りしめ顔に寄せる。 赤く燃える炎の中 二束の長い髪に結ばれてる鈴が チリィーンと虚しく鳴る。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加