第一章、姫と鵺

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「ありがとう…ねぇ出て来てよ 名前を教えて?」 女の子は戸惑いながら私の前に出てきた。 「わ、わっちいは巫女様に作られた蛇草(はぐさ)…巫女様のお迎えにきたの」 「お迎えって…どういうこと?」 「巫女様の使命は妖怪を倒す鬼神の姫様なのだ! だから、わっちいと一緒に国に帰ろう?」 「……はい?」 夢にしては話が吹っ飛び過ぎてる… 巫女って言われるのもそうだけど使命?鬼神の姫?国に帰る? それって私は生きなきゃ成し遂げれない事でしょ…? 嫌だ…なんで私は生きなきゃいけないの!? うつむく私に蛇草は私に触れようとする だが、私は思いっきりその手を払いのけた。 「私はここで死ぬの! あなたの言う国や姫は私には関係ない!! もう、この夢は終わりもう消えて頂戴ッ!!」 蛇草は固まったまま目頭に涙をためる。 だけど私はそのまま前に歩き出す。 「面白い事聞いた…お前死にたい巫女なんだな」 突然私の背後にあの声の人が… 振り向きたくてもお腹と顎を掴まれ身動き出来ない。 「なぁ?死ぬんなら俺と死なねぇか?」 「離して…」 必死に抵抗するそのたびに鈴の音がチリーンと鳴る。 「聞いてるんだ?答えろよ」 男の足を踏みすぐに離れ振り向いた。 「とんだおてんば娘だな…」 彼の顔が見えた。 人と思えないようなくらい綺麗な顔 そして、悲しい瞳をしている 「俺はお前が気に入った…なあ?俺と一緒にこの世界から消えないか? お前が望なら素敵な場所で殺してやる」 甘美な声で手を差し出す彼 その悲しい瞳で私を見ないで…見つめられたら思考が停止しそう…。 ゆっくり、操られたかのように彼の元に歩いて行く…。 、
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