壱:

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―20xx年― とある国の王と我が国の王は仲が悪かった。 それはもう本当に些細なこと―例えば、相手のジュースの量が少し多かったとか、そんなくだらない理由で戦争に発展しかけるほどだった。 あの事件も、その程度のケンカから始まった。 どちらの髪の色が綺麗か。 ただこれだけのこと。 ある国の王は光輝く金色の髪。 我が国の王は闇のような漆黒の髪。 どちらもそれはそれは美しい髪だったという。 しかし王たちは それを認めなかった。 我が国の王は言った。 我が黒髪こそが美しい、 貴様の金髪は金の争いの象徴で、いやらしい、と。 ある国の王は言った。 我が金髪こそが美しい、 貴様の黒髪は悪の象徴で、不幸を呼ぶ、と。 これで怒った王たちは、 ついには戦争を始めてしまった。 この戦争は 世界中を巻き込んだ。
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