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『おいお前、一年坊だろが!』
完全に頭に血が上った。
だが、ヘビー級も一切引く気はなし、グイグイと迫ってくる。
『んだと、ぉらぁ~!!』
と、丸太の様な腕で俺の後ろ襟をつかもうとしてきた。
射程圏に入ったその瞬間!
すかさず俺の渾身の左アッパーがアゴを撃ち抜いた!
クリーンヒット!!
だが、後ろ襟を掴んだ腕には依然と力がはいったまま。
なぬっ!?効いてないのか!?
ならば、タッパのあるヤツは足から崩せと、ヘビー級の内股目掛けローキック!
間髪入れずもう一発!
一瞬、巨漢がよろめきを見せた。
と、思ったら、
ガッシャーン!!
俺の体は駐輪場の金網に受け止められた。
ダッダッダッダッ
『ちょっと待った!ストップ!ストッ~プ!!』
小柄な少年が巨漢の前に慌てて割って入った。
『ストップ!やめろクポ助!!』
どいてろと言わんばかり振り払おうとするヘビー級を少年は必死でとがめた。
『一茶兄ぃ!ケガはない!?』
『何ともねぇけど、なんなんだこの馬鹿力野郎はぁ!?』
『ごめん、ごめん! オイッ!クポ助!前話した従兄弟の一茶兄ぃだよ!』
『ぃや、単車泥棒かと思ってよ…。』
やっと冷静さを取り戻したヘビー級のクポ助は頭を下げながらポリポリとかいてみせた。
『まぁ、俺が勝手に触ってたのは確かだからな。それよりお前、張石に入学してたの!?』
『エッ?何だよ、姉貴から聞いてなかった!?俺、高校進学するって。』
『そらぁ聞いてたかもだけど、まさかウチへ入ってたとは…』
『一茶兄ぃ、俺が入れるガッコが他にあると思ってんの!?』
くるとんはハイトーンのメッシュを引っ張りながらそう言って、舌を出してみせた。
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