俺、小林一茶✋ ⑱才‼

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ブォブォ〰ンヌ! 途中で指小僧を拾い、くるとんたちと合流した。 『やっぱ音はHONDAッスね~!』 くるとんとクポ助は背中に『八代目 ナイツ』と入った特攻服姿で意気揚々と参上した。 『お前ら気合い入りすぎ~っ!?』 『俺らいつでも上等ッス!んじゃ、行くッスよ~!!』 ブォン ブォブォブォ〰ン 二台は国道をスロットル全開で流し、そのまま駅前大通りへと曲がった。 会社帰りのサラリーマンやOL、コンパに向かう大学生など人通りは一番の時間帯だった。 ブォン ボフォフォフォン フォフォン フォフォン そんな中クポ助の奏でるアクセルミュージックは天下一品だった。 『ヒャッホ~~イ!』 それに合わせて後部シートのくるとんは振り落とされるんじゃないかと思うほどに激しくトラパラを踊りまくる。 露骨に怪訝な顔をつくる者、絶叫しながら手を振る者、とにかく周囲の群衆の視線を否応なしに集めた。 『ヨシッ、指小僧!!』 『オッケー!俺もイッたるわっ!!』 そう言って俺のリアの指小僧はクルリと向きを変え、後ろ向きのまま安来節を舞い始めた。 『しゅくえ~る しゅくえ~る!ヨッ!ヨッ!』 『ハッハッハッ~!!』 俺たち4人は大爆笑!! その時、背後から赤灯が光った。 『ウゥ〰〰〰ン!前の違反車両二台!止まりなさい!』 拡声器で叫びながらパトカーが猛スピードで後を追いかけてきた! すぐにXJRがグーッと幅を寄せてきた。 『一茶兄ぃ!ケツは持つから駅裏から川沿いへ出て竹ヶ端へ向かってて!』 そう言ってまたグーッと離れ去り、後方でパトカーをピタッとマークしてローリング。 くるとんはすぐ真後ろの県警に向かってオシリフリフリして挑発し放題。 通りの人混みはまるでサーカスでも見るように騒ぎ始めた。 俺たちはくるとんたちに軽く手をあげると次の角を左に折れた。 どこまでも一直線に続く川沿いの土手を河口堰へ向かって走っていた。 しばらくすると、はるか後方に一台のヘッドライトが見えてきた。 おそらくクポ助だろう。 赤い回転灯は見えてこない。 上手くまいたみたいだ。
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