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俺たちは河口堰付近の河川敷へと単車を乗り入れた。
『久々にハッチャケたな一茶!?』
今だ興奮冷めやまぬ指小僧がガシッと肩に腕を絡めてきた。
『ハハッ、指小僧クンのどぜう救いにはマジウケたよ~!』
後から着いた2人は特攻服のせいか、汗びっしょりになった上着を脱ぎ捨て、上半身裸で駈け降りてきた。
4人は河原の芝へねっころんだ。
『一茶クンもナイツで一緒に走っんねぇッス?』
『そうだよ!初代も願ってるよきっと!』
目を輝かせている2人に向かってタバコを吹きかけながら言った。
『俺ぁもうガキとぁ違ぇーんだよ!』
『そうだよ!俺らは暴ヤンなんてやる暇ねぇし!極道が似合ってんだって!』
『それも違えけど…!』
格好つけて言ってみたが俺自身、16の頃とは中身は何も変わってねえ事に気付いている。
少なくとも何かに向かって走り出している指小僧にすらも引け目を感じる時すらある。
対岸の街灯がゆらゆらと映る水面に向かって足元の砂利を投げ込んだ。
指小僧もそれを真似て投げ込んだ。
くるとんはさらに、遠くへ。
いつの間にかキャッキャ、キャッキャ!と皆で投げ込んでいた。
乱れた水面に映った街頭がアミダのように揺らめいていた。
『あれ?クポどこ行った!?』
見渡すと、少し離れた場所にクポ助は座り込んでいた。
『女だよ!尻に敷かれちゃってんの、クポ助の奴!ま、めちゃくちゃ可愛いんだけどね!』
そう言ってくるとんが彼女と電話中のクポ助に向かって砂利を投げつけた。
『なんだと!?生意気な!!そりゃっ!!』
すぐに指小僧もノッかった。
『ハハッ!彼女が機嫌損ねない内に帰っぞ!!』
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