俺、小林一茶✋ ⑱才‼

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この街周辺での最大勢力組織である廣済興業の直系の髭章会。 その末端構成員のイソップに連れられ今日は先月分の賭博金の収集に回っている。 賭博盆は完全会員制のためキリトリに回っても比較的スムーズに回収は行われる。 しかし、やはりその筋絡みのお客さんの為、中には一筋縄ではいかない者もいるわけだ。 そこで髭SHOに度胸を買われた指小僧がイソップにお供している。   今日は神辺町方面で3軒回った。 ゲーム喫茶のマスター、アパート、材木業者の社長サン。 ま、結局3軒とも温厚なお得意会員様で指小僧や俺の出番はなし。 帰りの車内、助手席から指小僧がセカンドバックの口を開いて中身を見せてきた。 かなりの一万円札の量。 『今日の回収金は422万6千312円だ。』 煙草の煙を鼻から吐き出しながらイソップがやや得意気に話した。 『最も負けが込んでいたのは喫茶店のマスターで一人で290万ぐらい。』 バックのジッパーを閉めながら指小僧が付け加えた。 『1ヶ月で!?どんだけ〰!!!』 博打に狂った人間と半日でこれだけの収益を持ち帰るヤクザ屋サンの運営事情に開いた目も口もふさがらなかった。 博打に狂う人間には二種類が見られる。 第一に本気で儲かると信じている救いようのない大馬鹿野郎。 そして、第二には賭け事で精神的に追い詰められることによって、もたらされるマゾヒスティックな快感に骨の髄まで浸かりきって抜け出せない者。 髭章会の賭場に集う者のほとんどは後者に当てはまるだろう。 世の中、狂ってるとしか言いようがない…。
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