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「え?俺らが?」
突然の誘いに、俺は目を丸くした。
目の前に座る彼は、俺の反応にただただ笑いを堪えているよう。
「やっぱり友人くらい招待しとかなきゃだろ?」
もう一度渡された招待状に目をやった。
『記念パーティー』と無難に名付けられたそれは、淳の社長就任を祝うパーティーだった。
「でも俺ら、そんな大きなパーティーとか慣れてないし…」
どう考えても、俺ら一般人には似つかないものだ。
「ははは、優くんや捺なら大丈夫だよ。心配なのは雅だな」
そりゃそうだ、2人して笑いこける。
「…それに」
突然笑うのをやめ、話を変えた淳。
俺も真剣に話に聞き入る。
「恋人、紹介したいんだ」
ちょっとだけ照れたように話す、思いがけない一言に思わず顔が綻ぶ。
「淳の恋人かぁ…、見てみたいよ」
ただ、楽しみなだけだった。
淳の恋人ってどんだけ綺麗な人なんだろう?とか、
どんだけ可愛らしい子なんだろうか?とか
そんな風にしか思いもしなかったから。
まさか恋に堕ちるなんて、思いもしなかったから。
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