すべてはここから、

2/3
前へ
/114ページ
次へ
「え?俺らが?」 突然の誘いに、俺は目を丸くした。 目の前に座る彼は、俺の反応にただただ笑いを堪えているよう。 「やっぱり友人くらい招待しとかなきゃだろ?」 もう一度渡された招待状に目をやった。 『記念パーティー』と無難に名付けられたそれは、淳の社長就任を祝うパーティーだった。 「でも俺ら、そんな大きなパーティーとか慣れてないし…」 どう考えても、俺ら一般人には似つかないものだ。 「ははは、優くんや捺なら大丈夫だよ。心配なのは雅だな」 そりゃそうだ、2人して笑いこける。 「…それに」 突然笑うのをやめ、話を変えた淳。 俺も真剣に話に聞き入る。 「恋人、紹介したいんだ」 ちょっとだけ照れたように話す、思いがけない一言に思わず顔が綻ぶ。 「淳の恋人かぁ…、見てみたいよ」 ただ、楽しみなだけだった。 淳の恋人ってどんだけ綺麗な人なんだろう?とか、 どんだけ可愛らしい子なんだろうか?とか そんな風にしか思いもしなかったから。 まさか恋に堕ちるなんて、思いもしなかったから。 .
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加