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「着いたか……俺たちの理想郷…。」
顔半分を包帯で覆われたその男は、鉄の甲板の上でニヤリと笑う
さらけ出している片目は、獣のようにぎらつき、男が理想郷と呼ぶ新大陸が移っていた
「筆頭……上陸の準備が整いました。
小隊長以下三十五名、いつでも上陸が可能です。
必要あらば、すぐにでも街を制圧いたしましょう。」
甲板に姿現した男の身の丈は、包帯の男を遥かに凌駕し、全身を隙間のない漆黒の鎧で固めている
包帯の男は現れた大男の言葉に頷き、甲板の手摺に寄りかかり、煙を吸う
短くなった煙草を海に捨て、男はようやく大男を視界におさめた
「…とは言うが、まずは下準備が必要だな。」
男は怪しい笑みを浮かべ、ゆっくりと甲板を降りていく
「…大佐、我々が作戦を開始するには何年かかる?」
移動しながら尋ねられた大男は、少し立ち止まって思案する
「八年……いや、五年あれば十分かと…。」
「五年か……クックック…数世紀にも及ぶ退屈に比べれば、たかだか五年など…。
大佐…言葉通り、五年で我らの足場を固めろ。
如何なる手段を用いてもな…。」
戦艦のブリッジから見下ろす先には、大男と同じ外観の鎧を纏う、歴戦の強者たちが整列していた
数多の戦場を駆け抜け、俺に絶対的な忠誠心を持つ兵士たち…
一人一人が一騎当千の武力
隠密・暗殺・戦闘、全てに長けた俺の精鋭部隊だ…
そして俺の脇に控えるコイツは、俺に心酔し命令されれば命すら捨てられる兵士だ
男は忠実なる狼たちを見て満足げに口許をゆがめ…そして号令する
上陸開始……
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