― 第1楽章 ―

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「…… や やめて 下さい」 ‐!‐ モノレールの出入口付近から声がした とてもか細く小さな声だったので 気付くか気付かないかであった ‐猥褻(わいせつ)行為 か‐ か細い声の持ち主は 出入口に追い詰められ大柄な男に身体じゅうを触られている 「…っ だ 誰か… 助け…」 周りで気付いているやつもいるようだが 誰も助けようとはしない 相手が相手だ 浅黒い肌に筋肉質な体つき 見た目からも短気のような性格だと捉えられる こいつに注意するようものなら ある意味自殺行為だな 被害者には悪いが それも人間の行いだ 『天使』の俺らではなく 周りの人間どもにも助けてもらいな 『… 助けて 助けて』 居心地が悪い 人混みを無理やり移動し 隣の車両へと動くことにした 「っ 助けて!」 ‐……… お気の毒に‐
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