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そう言った矢先ーーーー
「あっれーー?」
陽気に聞こえてくる声に、俺は思わず「げ…」と声を漏らした。
「なに?その女。ここは女人禁制のはずだよな?土方さん」
一応笑ってはいるが、目が笑ってはいない。
建物の影から出てきたこの男は、今のこの状況を1番見られてはいけない男。
「げ!総司…」
はぁ、と頭を抱えている俺の横で、平助が声を漏らす。
「なあ、どうゆうつもり?」
「そ、総司!コイツほっといたら死んじまうしよ!ちょっとの間面倒見るだけだって!」
平助が早口でまくし立てると、総司は平助の下へ寄ってきて、女の顔を覗き込んだ。
「ふ~ん。死人みてーな顔」
「総司。そいつは平助の知り合いだ、だから特別に少しの間ここに置いとくだけの事だ」
「平助の知り合い、ね。まあ、勝手にすれば?俺はそいつが死のうが生きようがどうでもいいけどな」
そう言って颯爽と去って行く総司の背中を見て、俺はもう一度、溜め息を吐いた。
あいつは、変わってしまった。
「土方さん…」
「ああ、とりあえずお前の部屋運んどけ。山崎呼んで来る」
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