第3章

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その笑顔には、例えるとすれば母親に置いて行かれた子供のような… 捨てられたノラ猫のような そんな寂しさが含まれていた。 自分の感情にここまで正直でいる彼は、なにをそんなに必死に笑顔で隠そうとしているのだろうか。 放っておいたら崩れ落ちそうで… 私は彼の体を小さな手で包み込んだ。 「なに…してんの、おまえ」 沖田さんの問いかけには、首を左右に振って答えた。 だって、沖田さんは私とは違うでしょう? あんなにたくさんの人に愛されて、必要とされて… だから、そんな顔をして笑ってはダメ。 「どうして…そんな、笑い方をするんですか」 沖田さんは、私なんかと同じなはずない。 「私のこと…嫌いで、良いです。だけど……だけど」 「ぃい加減にしろっ!」 無理やり沖田さんに引き剥がされて、私は真正面から彼を見つめることになる。 薄めた瞳から、次から次へと涙が溢れる。 そんな私を見て、やっぱり彼は、目を見開いた。 「そんな笑い方…やめてください。……皆さんが、悲しみます」 目を見開き、私を見つめたままの彼を置き去りにして、私は走って部屋へと戻った。 そして、倒れこむようにして布団に寝転んだ。 こんなに涙が溢れるのは、どうしてだろう。 どうしてこんなに悲しくて… どうしてこんなにさみしいの… 沖田さんの悲しそうな笑顔が、脳裏に焼き付いて離れないよ… 彼は、ずっとずっと あんな風に笑って生きてきたの…? こんなに、他人を自分の身近に感じたのは、初めてだった
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