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昼間は街に出かけ、そして少し走っただけで私の体はクタクタで…
3秒もしないうちに私は眠りに落ちていた。
その夜、夢を見た。
沢山の人の中で、大きな声で笑う私。
周りのみんなは、そんな私を優しい瞳で見守っていて…
そんな夢の中の私が、私はとてつもなく羨ましかった。
どうして私はこんな風に笑えないのか、どうして私はこんな病気なのか。って
久しぶりに、私は自分の運命を恨んだ。
いや、久しぶりと言うには語弊があるかもしれない。
だって私は、自分の運命を恨んだ記憶がないのだから。
毎朝私は、平助くんの慌ただしい声で目を覚ます。
飯だぞ~って威勢の良い声が部屋の外から聞こえてきて、目がさめると同時、心がポカポカとするんだ。
私が着替えて部屋から出ると、にっこり笑顔の平助くんが。
今日は、後頭部の方に寝癖がある。
日替わりの彼の寝癖を見つけるのが習慣化しつつある。
「おはよう」
「おはよっ!」
虫の泣くような私の声にも、嫌な顔しないで答えてくれる平助くんが、とても輝いて見える。
大広間に向かい歩いている途中、沖田さんの姿が目に入る。
朝だからか…
不機嫌そうな彼を、じっと見つめた。
「おはようございます」
これは平助くんに言うのとは別で、なるべく大きな声を出して言った。
だって彼は、そうでもしないと返事を返してくれないから。
まあ、だからといって、返してくれるとは限らないのだけれど。
ぷいっとそっぽをむき、私達の前を歩く沖田さん。
そんな彼に、平助くんははぁと溜息をついた。
「おまえ、無視されてるんだし毎日毎日挨拶なんてしなくていいんだぞ?」
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