第4章

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はっ、と前方に立ちふさがる人影に目を移した。 太陽の明かりに照らされ、白銀の髪はいつも以上に美しく見える。 私にこれでもか、というほどの鋭い視線を向ける。 「沖田…さん…」 恐る恐る名前を問いかければ、彼はそれ以上に目をきつく光らせた。 「鬱陶しい…。てめぇな、俺以外の奴がお前がここに居候する事認めてるからってあんまり調子に乗らねえ方がいいぞ」 「わっ…私…調子になんて…」 だけど私の小さな声は、彼には届かない。 私に背を向け歩き出す沖田さんに、私はグッと拳を握った。 それと同時、自分の体が勝手に動き出したのが分かった。 沖田さんの着物の袖をキュッと握り、彼の歩みを遮る。 「沖田さん…そんなに、怖い…ですか」 自分の手がふるえているのが、自分でも分かる。 なのに、どうして口を止められないのだろう。 怖いのに、言わなければいいのに… 私はーーーー 「てめ、何喋ってんだ。離せ」 グイッと袖を引っ張られるけれど、私はそれを両手で阻止する。 「そんなにっ怖いですか!?昔の自分そっくりの私を見ているのが…そんなに、怖いんですか!?」 ありったけの力を込めて言い放つと、喉からはヒューヒューと嫌な音がする。 涙の浮かんだ目で沖田さんを見れば、その顔は怒りに歪んでいた。 「ふざけんなよ!!」 もう一度強く袖を引っ張られれば、袖は酸欠で頭のクラクラしている私の手からいとも簡単に抜けていく。
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