第4章

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「てめぇの勝手な理屈で!!俺の感情の理由を決めるな!」 鬼のような顔で叫ぶ沖田さんの顔。 沖田さんは気づかないのかな。 その怒りに満ちた表情の下に、どこか寂しげな気持ちが含まれてること。 その時、左頬に激しい激痛が走り、私は右側に数歩よろけた。 酸欠による朦朧とした意識。 それから沖田さんから飛んできた、怒りの拳のせいだった。 「自惚れんな。俺はお前が嫌いだから嫌いなんだ。勝手にんな難しい理由つけて舞い上がんな」 ペタン、と床に膝をつく。 太陽はこんなに照っているのに、床はどうしてかヒンヤリ冷えていた。 丁度、今の私の心のように。 視界が全く見えなくなり、私は朦朧とした意識を、とうとう手放した。 うっすらと目を開くと、私の部屋の天井が見えた。 「あれ…わたし……」 ゆっくり体を起こそうとすると、左頬に痛みが走る。 ズキン、ズキンと鼓動に合わせて鈍い痛みがする。 あ、そうだ…私…… 「茅奈っ!!目、覚めたか!大丈夫か!?」 記憶を辿っていると、なぜか私の部屋にいる平助くんが慌てて私の顔を覗き込んできた。 その顔はもう心の底から心配してくれているような顔で… 私は心の奥の方がホッと暖かくなるのを感じた。 「…ん。大丈夫」 左頬が痛むのを我慢し、微笑みながら答える。 それを確認すると、平助くんは安心したように息を吐いた。
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