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「それにしても…左頬どうしたんだ??少し腫れてるけど」
「…あっ」
ふと左頬を手でなぞると、鈍い痛みを伴った。
微妙に腫れている?。
いまの私の顔面はものすごいことになっているのだろうか
「これ…ね、転んじゃったの」
へへっと笑いながら言う私に、平助くんは眉をひそめた。
「どっ…ドジだよねえ。こ、転んでほっぺ打つなんて」
このなんともいえない空気を回避しようとがんばって笑ってみるが、空気が変わる気配はない。
平助くんは、全てを見透かしたかのような瞳で、私を見ている。
だけど、うーんと何度か唸った後、諦めたようにため息をついた。
「あっそ。ま、そうゆうことにしとくか」
呆れたようなその顔に、私はへへ、と笑いだけ返した。
「茅奈…」
左頬を優しく、優しく、触れるか触れないかの距離で平助くんが触れる。
悲しげな彼の瞳に、私まで悲しくなる。
「あんま、無理すんなよ」
私を心配してくれる平助くんの言葉は、私の心にじんわりと染み渡った。
「ぜんぜんっ…大丈夫、だよ」
* * * * *
#平助eyes
あの頬のケガ…
絶対と言っていいほど、誰かに殴られた跡だよな。
茅奈の部屋を後にし、自室への道を歩きながら、俺は黙々と考えを巡らせた。
だけど…茅奈のこと殴る奴なんて……。
まあ、1人しかいないわな。
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