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「ーーっきた…さん!」
沖田さん!!
と叫ぼうと動かした私の声は、そんな訳の分からないものに変わってしまった。
だけど、ピタリと彼の足は止まってくれた。
肩で息をしながら、彼の後ろ姿を見つめる。
ゆっくり振り返った彼は、やはりいつもと同様眉間に深いシワを彫っていた。
「あの…手拭い……。ありがとう、ございました」
「……べつに」
沖田さんは、一言短くそう言って踵を返して立ち去って行った。
「あっ……」
いや…今引き止めて何を言うの?
言葉も考えないままで引きとめようとした声は、グッと押し殺した。
やっぱり…そんな上手くは行かないよね…。
そもそも頬に手拭い乗せてくれたのだって、ただの罪悪感からかもしれないんだから…
はぁ、と大きな溜息を吐いて、自室へと向かった。
やはり、人付き合いと言うものは私とは無縁みたいだ…
平助くん達は、あっちから沢山近づいてきてくれるから自然と仲良くなれるけど…
やっぱり沖田さんみたいなタイプと、私みたいな人付き合い初心者が仲良くなるなんて土台無理な話なのかも。
そう考えたら、なんだかより一層悲しくなってしまう。
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