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無意識に吐いたため息が、重く私にのしかかった。
こんなに沢山の人と関わっているのは、産まれて初めてのことだ。
幼稚園は多少通っていたことがあるにしても、こんな性格の私に友達ができるはずがなかった。
長い時間を過ごした病院ですら…できなかったのだから。
そんな私に、平助くんは……みんなは、優しく語りかけてくれた。
ここにいるみんなのおかげで、私は少しずつ変わることができているんだ。
なのに…
鋭い彼の眼光を思い出すだけで身が震える。
怖いほどに冷めきった、なんだか寂しそうな瞳。
私は不思議とその瞳に恐怖は感じなかった。
「茅奈~、いるか??」
「平助…くん…」
部屋の外から聞こえた声に反応すると、平助くんはゆっくりと襖を開いた。
「どうだった、総司とは」
優しく…本当に優しく尋ねる平助くん。
私は自分の情けなさを感じながらも、首を左右に振った。
「え?…なんか、話しとか…しなかったのか?」
「お話…?」
私と、沖田さんが…??
そんな風に、上手く行ったらいいんだけどね…
どうやら平助くんは、手拭いの一件で私と沖田さんの仲が良い方に転がったと踏んだらしい。
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