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こいつがこんなにガキだったとは…
総司の正面に腰を下ろし、俯く彼の顔を覗き込んだ。
「総司、お前なあ…謝罪ってのは時間が経つにつれてやりにくくなるもんなんだぜ?」
呆れた様子で言う俺に対して、総司は
「うるせぇよ」
と言っていじけたようにそっぽを向いた。
幹部最年少の俺が説教をするというのも可笑しな話だが…
ここはきっちり言わせてもらう。
茅奈のためにも、総司のためにも…
「総司も本当は謝りたいと思ってんだろ?」
その質問に対して、総司は黙秘を決め込んだ。
本当に、素直じゃない男だ。
本当は茅奈にしたこと、反省しているくせに。
「総司。茅奈がお前と仲良くなりたいと思っているうちにお前も頑張ったほうがいい」
唇を尖らせてツンとそっぽを向いている総司に、そう言い聞かせる。
「…かってるよ」
掠れて、気を抜いたら聞こえなくなりそうな総司の声に、ふっと微笑みが漏れる。
こいつだって、本当は茅奈と仲良くしたいと思っているに違いない。
そう、思った瞬間だった。
総司がもう少し素直なら、苦労しないんだけどな…
内心そんな事を思っていたことは、総司には絶対内緒だ。
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