第4章

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「…悪かった」 視線は右斜め下に下ろしたままで、彼はそう、吐き捨てた。 彼の素直な言葉に初めて触れた私は「へっ?」なんていう、素っ頓狂な声を上げてしまった。 そんな私の顔をチラッと見て、再び視線を斜め下へと落とす。 そんな彼の行動を半ば観察しながら、彼の言葉を待った。 「お前の病…のこと、何も知らねえで…色々嫌なこと言っちまって…」 いつもの沖田さんからは想像もつかないほどに小さな彼の声。 だけど、ボソボソと小さな声で彼は尚も話し続けた。 「お前の言う通りだよ。…怖かったんだお前を見てんのが」 穏やかな口調で語りかける沖田さん。 私は彼の瞳を真っ直ぐに見つめて、その言葉を待った。 「だから、お前の事情なんてなんも気にしねえで、八つ当たり、した……」 バツの悪そうな彼の表情に、反省の色が含まれている。 彼の、申し訳ない、という気持ちをひしひしと感じる。 「本当に…悪かった」 ペコっと頭を下げる沖田さんに、少し狼狽えてしまった。 けれど、私は無意識に、彼の顔を両手で包んでいた。 ふわりと強制することなく、彼の顔を上げさせる。 「もう…やめてください。…大丈夫、ですから」 薄く笑みをうかべながら言えば、沖田さんは何故か目を見開いた。
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