第4章

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「もう…良いん、です」 元々、私は彼に謝ってほしかった訳ではないから。 より一層笑みを深めれば、沖田さんもなんだか安心したように表情を和らげた。 「あ…で、でも。…ひとつだけ…良いですか?」 彼の両の頬から手を離して、自分の膝へと移動する。 正面から彼を見つめると、彼もまた私を正面から見つめ返してくれた。 相槌なんてものはないけれど、彼はちゃんと私の話を聞いてくれている。 そう確信できた。 「私…がんばりますから。…ですから、もう、悲しまないで、下さい…。お願い、です」 私が彼の幼少期に似過ぎているからか、彼は私を見るたびなんだか悲しげな顔をしていた。 それらの全ては、怒りという感情でひた隠しにしていたようだけれど。 あんな顔は、もうしてほしくない。 こんなに、自分に正直な彼だからこそ、あんな悲しげな表情は、させたくないのだ。 そんな、私の切実な願いに、彼は再び目を見開いた。 「悲し…む…って、なんだよ、それ」 信じられない、とでも言いたげな彼の表情。 私は、キュッと拳を握った。 「あなたは、ただただ私に八つ当たりをしてた訳じゃ、無いと、思います」
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