1861人が本棚に入れています
本棚に追加
だって、あんなにあんなに悲しい顔をしていたから。
「あなたも、傷ついて、いたのではありませんか…?」
語りかける私に、沖田さんはキョトンとしていた。
きっと自分でも気付いていなかったんだと思う。
だけど、人を傷つけて、自分は傷つかないでいられるほど、この人は…冷たい人間ではないんだ。
やがて沖田さんは、やっと私の言葉の意味を理解したのか、その大きな手で自分の顔を覆った。
ゴツゴツした男らしい手に、一瞬目が行く。
「もーおまえ…なんなの、まじで」
なんだかか細い彼の声に今度は私がキョトンとしてしまう。
だけど、全く敵意の篭っていない声色に、ほっと息をついたのだ。
「おまえ、ほんと…変わってるよ」
「…そうでしょうか」
不思議そうに呟いた私に、沖田さんは綺麗に微笑んでくれた。
最初のコメントを投稿しよう!