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“国立陽光武装学園”、通称“陽武園”。
世界七大武装学園の中でも二番目に大きい学園であり、生徒人数も二千人以上在学中。
学園内での生徒の武装化は規則としてあり、その二千人以上が全員武装している。
大多数の生徒の卒業後は、ここで得られるスキルを活かせる外国の治安維持を目的とした警察、または自衛隊、スパイなどに就職することが多い。
授業内容は学園内にいくつもある“コロシアムルーム”にて行われる戦闘実施訓練がメインである。
今日はそんな少し危なっかしい学園の入学式。
この物語の主人公、【紅井 緋色】は今まさに、遅刻しかけていた……。
「ああ……今日から二年生なのに、いきなり遅刻なんてしたら……」
不安を募らせながら重い体を必死に動かして、重いスナイパーライフルを背負って、学園へと自転車を走らせていた。
「緋色! よっ!」
「ああ、真弥。おはよう」
後ろから肩を叩かれた緋色が振り向くと、背中に大きな剣を背負った一年生の時のクラスメイト、【國比良 真弥】がいた。
「お前……また遅刻かぁ? 懲りないなぁ」
「真弥に言われたくないなぁ」
「言うな。わかってる。遅刻最高記録を塗り替えた俺には言われたくないってことくらいは」
真弥は陽武園の過去の遅刻最高記録を一年生で塗り替えた、ある意味で有名な生徒である。
「間に合うか?」
「真弥はね。僕は間に合わないけど」
「? ……どーいう意味だ?」
緋色は右手で後ろを指差した。
真弥が後ろを見ると黒いリムジンが追いかけてきている。
「おい、あれ……」
「うん、狙われてるね。どこかのマフィアみたいな感じかな? 僕が片づけるから真弥は先に行って」
「馬鹿言うな! 俺も……」
「馬鹿は真弥の方だよ。今の真弥のクラスは【大剣士】だ。これは近距離戦闘じゃない分、真弥は戦力外だよ」
緋色は背中のケースを開き、スナイパーライフルを取り出した。
一発だけの弾丸をセットし、ライフルを構える。
「ちっ! 先生に連絡して手配してもらうから、くたばんじゃねーぞ!」
それだけ言うと真弥はスピードを上げて学園へと向かって行った。
黒いリムジンの窓が開き、そこからマシンガンの銃口が覗いている。
「さて、緋く……染めてあげなくちゃ」
緋色は迷いなくトリガーを引いた。
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