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「緋色! 大丈夫だったのか!」
「何その残念そうな言い方、やっぱり真弥に任せておけば良かったね」
「冗談だよ相棒! 無事で良かったに決まってるじゃねーか」
「相棒……? それこそ冗談でしょ?」
「ああ! ごめん! 私が悪うございました!」
生徒が集まる体育館のほぼ中心的位置で、これほどまでに素晴らしい形の土下座があるかと思うほどの土下座を、真弥は何の躊躇いもなくやってみせた。
真弥は色々な理由があって緋色に弱い。
だが、緋色も真弥に弱いところがあり、なんとも凸凹した二人なのだ。
「″それでは国立陽光武装学園、第九回入学式を始めます″」
入学式が始まった。
四月一日、正午。
新しい教室と見慣れない顔の多さに少しの鬱陶しさを感じながら、緋色は指定された自分の席へ座る。
「今年も入学式長かったな。大丈夫か緋色?」
「黙って真弥。今日は“特科”もないしやる気ない。帰っていいかな?」
“特科”というのは“特別学科”のことで、自分の選んだクラスの授業を自主的に受けることができる。
全生徒は何のクラスかを、入学してから二ヶ月間の期間で選び、それを受講しなければならない。
クラスは幾つも取ることができるが、定められた以上の点数、成績をとらなければクラスは取得出来なくなる。
「ダメだ。今日は午後から通常授業だからな。まぁ、勉学の授業じゃなくて委員会とか決めたり、自己紹介とかだろうからしっかり頑張れよ!」
緋色はすっと頭を机の上に落とし、だらけきった。
すると新しい担任が自動開閉する教室の扉を、まるで和室の障子戸のように手動でピシャリと音を立てて開けた。
扉は黒煙を上げて、警報機が作動している。
「よーし! さっさと席につけ~! 早くしないと蜂の巣になるぞ~!」
緋色は警報機の音に苛立ちを隠せずダルい体を起こし、教卓に目を向けた。
「げっ……新しい担任って新羅先生……」
「緋色、ついてねぇな!」
【新羅 夕陽】、特科【狙撃手】教員、生徒指導担当、通常授業の内、数学、社会担当……と色々こなす教師の中でも、そこそこ優秀なエリート教師である。
「紅井~……『げっ』て台詞がお前みたいな声で発されたのが聞こえたけど、私の気のせいかぁ~?」
「先生、幻聴まで聞こえるようになったんですね」
「紅井、放課後職員室だ」
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