天才と呼ばれた少年。

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手記 明日には私は死んでいるでしょう、という書き出しはお嫌いでしょうか。それとも見ただけで頬が紅潮してしまうほど、興奮なされたのでしょうか。私がそれを確かめられないのは、非常に残念なことです。できるならば今にも自殺してしまいたいくらいですが、私はまだ死ぬわけにはいかないのです。 そうです、誠に残念なことではありますが、私は明日には死んでしまっているのです。理由はきっとあなたもすでにわかっているのでしょうね。 私はあの天才少年の最低の発明によって尊い命を落としてしまうのです。そしてそれはきっとあなたも同じです。私とあなたはあの天才少年の最低の発明によって尊い命を落としてしまうのです。 私は実に冷静です。そう言えば何かの本で読んだことが あります。人は本当に恐怖したとき今までにないほど 冷静になるのだそうです。そんなことはどうでもいいのです。私はあなたが好きだった。 さようならケンスケ。祖国によろしく
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