天才と呼ばれた少年。

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私の存在を未来に託す 世界が終わってしまっても、文書はきっと残るだろう。とりあえず、窃盗などをされないように金庫に入れておくことにした。 世界が終わることはもう決まってしまった。私には止められない。世界が死に、私も死ぬ。それはもう決まってしまったのだ。カウントダウンは始まっている。『終わり』の一時間前に鳴るよう、私はタイマーをしかけた。それは四十分前から鳴り続けている。 私は音楽を聴いている。プログレッシブ・ロックだ。いいね。分かち合える人がいればもっといい。今、世界は静かに死んでいる。地上ではきっと暴徒がレイプでもしているのだろう。あと、十五分だ。プログレッシブ・ロックは一曲が長い。最後まで楽しんでいられそうだ。 あと、五分。そろそろ金庫に入れるよ。さよなら、世界。私はハチドリが好きだった。
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